年収200万円で地方に移住できるか

「いい仕事はないものだな」

 

2017年の晩秋ごろから東京を離れ地方活性化の仕事をやりたいと考えていた私は、起業含め様々な手段を模索していた。

 

その中で、地域おこし協力隊という仕組みを知り、興味ある仕事をいくつか見ていた時の感想だ。

 

地域おこし協力隊というのは国の支援で任期付き(1年契約で最大3年)の契約を都心部に住む人が移住した場合に支援するという仕組みだ。

任期終了後も定着できるように起業を支援する制度もある。

地方活性化と地方移住促進のための制度である。

 

北海道や四国などでこの仕組みを採用している自治体が多い。

毎年受け入れてしている自治体もある。

 

仕事は自治体により様々だが、私が調べた範囲では下記の3つに集約される。

・農林水産業や観光業などその地域で成長させたい事業の立ち上げや運営

・その地域で不足している業務、介護やスポーツインストラクターなどである

・テーマは広く、町が課題と考えていることを改善する活動

 

週5勤務が多いが、週4以下の場合もある。

給料は月16万~20万のことが多く、雇用契約の場合と業務委託契約の場合がある。

 

面接は現地である場合が多いが、まれに都内などで面接をする自治体もある。

 

原則人口減少地域が対象なので、地方の都市の募集はない。

また今住んでいる場所が都会でないと対象にならない。

 

 

興味を持った私はまず北海道の自治体に応募した。

書類選考や試験があったがクリアし、東京での面接。

 

そこもクリアし内定をもらった。

そこを受けた理由は4つである。

・副業をしたかったが、それを認めてもらったこと

・月給は20万円だが、家賃は2LDKの一軒家を月1万円以下で借りられること

・車が貸与され、ガソリンや暖房用の灯油の補助もあること

・ミッションが興味深く、挑戦し甲斐がある内容であること

 

冒頭に書いたが、年収200万円程度の案件が多い。

最初に応募した自治体は年収240万円だが、東京で長年暮らしていると躊躇する額だろう。

しかし、地方移住はコストも大きく下がる。

家賃や交通費負担が大幅に減ることで、月20万円でも東京で言う月30万円近い生活はできる。

 

その後現地に行き視察などもした結果、諸事情により辞退したが、給料以外の条件を確認することは大切だ。

特に副業禁止だと、収入を増やすことが出来ず、最先端のトレンドも追いにくくなる可能性がある。

地域おこし協力隊を受ける場合はその辺の条件確認をお勧めしたい。

 

 

少し遅れて応募したのは四国の自治体だ。

ここは月166,000円という条件。

渋谷でその県の地域おこし協力隊を募集する自治体が集まっての説明イベントがあったのでそこに参加し知ったのだ。

 

このように東京で説明会をやる地域はあるので、興味ある方は情報を定期的に検索するといいだろう。

 

ここに応募した理由は3つだ。

・内容が観光協会立上げで以前よりやってみたい仕事であったこと

・週4日勤務で副業可であったこと

・家は無償で提供されること

 

車を買う必要があるのでその費用はかかるが、説明会で中古車を買う人が多いという話も聞きそこはあまり気にしていなかった。

 

現地に行き(飛行機+電車+バスで羽田から6時間ぐらい)面接を受け、その前に案内もしてもらった。

先輩の協力隊員にも話を聞いた。

副業の仕方や休みの過ごし方は重要である。

当然地域には知り合いがいないわけだから、固有の楽しみ方を知らないと病んでしまう可能性もある。

先輩は釣りが好きで、毎日夕方に食料調達も兼ねて釣っているそうだ。

また地域の農家と触れ合うことで野菜ももらうことが多いらしい。

買うものは米と肉ぐらいであとは調達できるということ。

このように生活費安く暮らすことも地方のだいご味だ。

 

ここも諸事情により辞退した。

 

もう一つ応募し最終選考まで進んだところもあったが、そこは副業が認められずその段階で辞退した。

 

さて、何故2つも内定をもらったのに辞退したのか。

それは旧知の人がいる会社(札幌)から誘われそこに移ったことによる。

 

いきなり人口数百人の週略に移るよりも、地方の都会を経たほうがいいという判断もあった。

 

3つ目のエピソードとしては現在の話をしよう。

給料は地域おこし協力隊に比べればだいぶ多い。

しかし東京で会社役員をしていた頃よりはもちろん下がるし、フリーランスで働いてた時よりも減るし、東京で誘われた会社の条件に比べると少ない。

 

では、何故そこに移ったのか。

その理由は下記5つ。

・自分がやりたい仕事に近づけること

・生活費が安く済みそうなこと

・趣味のため

・副業が認められていること

・東京に出やすい

 

札幌の地価は安い。東京に比べると土地の価格は1割以下である。

建物の価格は変わらないため、賃貸だとそこまで差はつかないが、山手線の駅から電車で10分ぐらいのところと、札幌の中心部から電車で10分ぐらいのところを比べると半額以下になる。

1人暮らしではあるが、2DKで駅から徒歩4分、通勤30分ちょっとのところで家賃は6万円台で借りれる。

新しい物件を借りたが、家賃を5万円以下にすることも可能である。

冬の水道光熱費は高くなるが、夏は逆に安いので、年間通すと少し増えるぐらいだろう。

私の家は都市ガスがないが、中心部に行けば都市ガスの家が多く、そうなると暖房費もさほど高くない。

 

そして副業許可と東京に出やすいこと。これは非常に大事だ。

地方に行くと起きる問題が時代に遅れることだ。

これは移住してみて実際に感じる。

しかし、副業が可能で東京に出やすいとそこでカバーできる。

新千歳空港から羽田空港は飛行機で1時間35分。多くの飛行機が飛んでいるので日帰りもできる。早めにチケットをとれば往復2万円台でいける。

 

東京から地方に移ると給与の下落に愕然とすることが多いと思うが、札幌レベルの都市でも東京より3割ぐらい安い。

しかしその差なら生活レベルは変わらない。

新卒でも中心部から徒歩圏内に住んでいる人も多いぐらいだ。

 

生活に不自由もしないし、たまに東京に行って刺激を得ればいい。

 

さて、冒頭の年収200万円で地方に移住できるか?

農村や漁村なら可能だが、その生活を楽しめるかどうかが課題になる。

趣味が家庭菜園や釣りなどマッチすればすごい楽しい。

 

それならば地方の政令都市で年収300万円ぐらいの仕事の方が安心だ。

 

そしてどちらの場合も東京の年収400万円~500万円と同等の生活水準を保てる上に、通勤等で疲弊しない。

 

都会なら仕事も多く、町村なら地域おこし協力隊を探してみてはいかがだろう。

 

なお、私が札幌を選んだ理由の一つである趣味というのは北海道日本ハムファイターズの応援である。今年は30試合以上観戦した。

趣味から住む場所と仕事を選ぶとストレスなしの楽しい生活。

 

ここまで読まれた方には年収が激減することを恐れずに地方移住に挑戦することをお勧めします。